厳選!路傍遺産を詩と写真と地図で紹介
「ブレンタのヴィーナス」
散ったイチョウの葉っぱは凍える車道の傍に背をもたれて頼りなく揺れて語らう。 その言の葉も雑踏に踏まれて、黒い跡だけを残した銀杏の影が人気のない休日の木枯らしに吹かれ混沌として戯れ続けている。 コンクリの壁だけに囲まれた部屋で少女は丸い裸身からハシャギ過ぎた季節には溢れていたパワーを今は全く脱ぎ捨て、替わりに冬を纏って眠っている。
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